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2009年3月30日 (月)

傷跡

P3280124いくつくらいまででしょうか。かすり傷とか打ち身とか傷ついてもさらっと綺麗に治っていたのは。40歳を超えてからきっと新陳代謝が悪くなって傷の治りが遅くなったり、充分でなかったりするようになりました。そんな実感を得てから辛夷の花を見る感じが変わってきました。美しく散ってゆく桜の類は例外で、およそは痛みながら枯れ、散ってゆく花がほとんどだと思います。でもその傷は生きてきた証でもあるわけで、きれいな部分の中で悲しんでいるのではなく堂々として見えます。「失敗は成功のもと」とも言えそうな傷は種の色にも見えます。まだまだ見たい、知りたい、感じたい人生だから、保守保身など考えず生きている「今」を大事にしてゆきたいですね。

わが山河まだ見尽くさず花辛夷   相馬遷子

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2009年3月26日 (木)

風の強い春の日に

P3120237春疾風でしょうか、涅槃西風でしょうか、風の強い一日でした。春時雨のように冷え込んで優しいクリーム色だった木蓮の花は飛ばされ、膨らみかけた桜のつぼみも紅く凍えているよう。もう冬ものはクリーニングに出して、春ものだけでいいかなと思ったのに、まだまだ冬ものは仕舞えません。もう20年も前ですが、韓国・ソウルに住んでいたとき3月なのに雪が降り冬に戻ったような日が何日かありました。心は春に遊んでいたいのに冬に引き戻されてとても悲しい気分になりました。もっと遊園地や水族館にいたいのに帰りの電車があるから無理やり引っ張られて家に帰った、あのときの強引な父や兄の腕力のようです。楽しいことの時間はとても短く感じます。きっと今年の春も花を追いかけているうちに出会えぬ花も多いまま過ぎてしまうのでしょうね。風の強い春の日にはどうか散らずに花が咲き続けていることを願って止みません。

春嵐足ゆびをみなひらくマリヤ  飯島晴子

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2009年3月20日 (金)

お彼岸ですね

Dscn5511いつもあまり人が訪れないお墓やお寺に向かう道、人でにぎわっています。久しぶりの人、すっかり容貌が変わって気づかない人、ひょっとして故人もいっしょに歩いているのかもしれません。あったかい陽射しのなかで、少し汗ばむ陽気の下、人々が自分のいのちの連鎖を確認できる場所に向かいます。もしもお墓やお寺が亡くなったら、きっと日本人の心の豊かな時間が細ってゆくような気がします。忙しい日常のなかで、ふと違う時間を当たり前のように持てる「お彼岸」の時間を大切にしてゆきたいですね。

山寺の扉に雲あそぶ彼岸かな  飯田蛇笏

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2009年3月16日 (月)

傷つきながら咲いてゆく

P3141245あったかくなって春の陽気に誘われて木蓮の花がむくむくと天に向かって開いてゆきます。その産毛を光らせながら、クリームいろのやさしい光を反してゆきます。下から見上げる人間の目には美しさばかりに心が奪われるのだけど、ずううと近づいてみれば開ききらぬのに、もう傷ついているのです。茶色の線は痛みのあとのようで悲しいのですが、空に向って伸びようと、咲こうとしている姿が本質なのだから、傷ついても美しくある。その存在がしなやかな人間の生きざまにも見えてきます。うつむいているのではなく、顔を天に向かってあげていれば、きっと強く生きる術が分かってくるような、そんなことを思わせる木蓮の花です。

木蓮の風のなげきはただ高く  中村草田男

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2009年3月 7日 (土)

春の眠りに落ちなさい

Dscn7542灰色の雲を風がはらってくれたら

ぽっかぽっか

春の陽気だね

いい香りが鼻をくすぐる

贅沢な香りだね


真っ青な空が草木に声掛けて

あたらしいみどりが

次々生まれてゆくよ

いい香りが肌に沁みるよう

生きてゆく香りだね


うまれたばかりは

まだまだたくさん眠らないとね

しばらくは春の眠りに落ちなさい

沈丁花のはなのもと

春の眠りに落ちなさい


いつまでも春のタヲルをはなさぬ子   田中裕明
                                                            

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2009年3月 2日 (月)

うらら

P3010015久々のおだやかな晴れ。うららかなお天気のもと瀬戸内海を渡り、四国山地を越えてお墓参りに行ってきました。お墓で掃除を始めると、いつも烏がやってきてこちらの様子を仲間に伝えます。今日は初うぐいすの囀りがあちこちで聞こえました。それは求愛のささやきのようで、甘く優しいメロディーでゆっくり間延びしたものとスキップのように短く切れて返すものとがあって、不思議な音楽を長い間楽しむことができました。途中の道端には桃の花が満開で心地よい三月が始まりました。

ない事よ桃のけふほどよい天気  惟然

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