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2008年10月29日 (水)

燃ゆる

Dscn7149赤く、黄色く、紅く木の葉が、木の実が燃えてゆきます。やわらかな表情の紅もあれば、狂おしい赤もあり、その表情たちはシンフォニーのクライマックスに向かっているような変貌ぶりです。普段は遠くに見える山が、その声を大きくして平地の生きものに呼びかけているようにも見えます。山眠る前の山は、山歌う、という季語ができそうなほど。山粧うは綾錦の山を讃えた季語。この季語が楽しめるのはあと数週間でしょう。今年の秋の麗しい色をいくつもみつけながら秋の歌を歌っていたいと思います。

火を噴きてあと静かなり秋の山   橋本鶏二

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2008年10月22日 (水)

ビロード

Dscn7081神無月を迎える前の花々の色はどこか慈悲深い色に見えます。原色を抑えたような、原色をもっと深めたような二義的な色を感じます。そして、何度も挑戦して、ことごとく撮影に失敗している薔薇があります。「黒真珠」という名の深紅の夜をなめらかな声で歌っているような薔薇です。いつもこのビロード感と肉感的な深紅の色が出せないかと何十枚も撮ってみるのですが、なかなかうまく撮れません。きっとピントの具合とシャッター速度の加減がうまくいってないのだと思います。何だかいつまでたっても手に入ることのない恋を追いかけているようでもありますが、飽きることなくこのビロードの薔薇を撮り続けてゆこうと思います。

野の川を心に撰りし秋の帯   鈴木黎子

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2008年10月18日 (土)

秋夕凪

Yuunagi081004_2夕焼けの季語が夏なのは、夏の夕焼けが一番大きく印象的だからでしょうか。私は秋の夕焼けと黄昏が一番好きです。特に山から眺める瀬戸の夕凪は美しく、海と空と島がひとつの交響詩を詠じているような時間がゆるやかにすべるように流れます。その30分ほどの間に移り変わる様は一篇の物語を、映画を観せられているようでもあります。今日の燃える紅色は恋の話。昨日の綾なす金色とだいだい色は出会いのえにしの話。何度みても飽きない風景が瀬戸の海に、宍道湖の湖には展開されます。今日もとても爽快な秋晴れ。素敵な物語を観に山に登ろうかな。

恋人となるにふたとせ薄紅葉   満田春日

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2008年10月15日 (水)

猩々

Pa150011いろいろな事情があって、あるところに落ち着いたときに結果、というか答えが目の前にぽろりと転がってきます。今日、そんなわけで今まで使ってきたブルーの携帯電話をワインレッドのものに変えました。落ち着いた葡萄酒の色なので、派手ではない紅いぬくもりと落ち着きを感じさせて、結構気に入ってます。そんな上向きの心のベクトルのまま京都の歳時記の本を探したくて、本箱をあちこち探っていました。すると目に止まったのが岡井省二先生の『句集猩々』でした。まだ俳句のこともよく分からず、句を作ることもなかった13年前、ある文章が目にとまりファンレターのようなものを出してしまいました。すると先生からこの句集を贈ってくださり、ずっと大事にしすぎて、よく開くことはなかったのです。でも赤葡萄酒の電話が呼んでくれたのでしょうか、『句集猩々』の扉に先生の句があり、何だか先生の声が月の下蘇ったような気がしました。紅い糸電話で今宵長話をしてみようかな。

空海の谷無花果を食ひちらす  岡井省二

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2008年10月13日 (月)

ずうと昼寝

Taruho0810こんなにも秋晴れが続くのにずうと家のなか。いつもなら散歩に、ドライブにせっかくのおやすみを楽しんでいるはずだけど・・・家族の誰かが元気でなくてはそうもいきません。それでもスーパーに行くまでの田んぼや空に気持ちのいい秋をもらって、すこしだけ気分が軽くなりました。もしも1日が24時間じゃなくて72時間くらいあって、そのうちの24時間がずうとお昼で、気持ちいい陽射しと風を感じられるなら、ずうと昼寝をして、昼寝の国の住人と夢のなかで句会を開けたら、と思います。

弥勒菩薩半跏思惟像秋晝寢   田中裕明

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2008年10月10日 (金)

お留守番

Dscn5032明日は裕明先生の誕生日。「ゆう」やその仲間たちが東西から明石に集まり合同句会があります。ずっと楽しみにしてきたのですが、体調すぐれず今回は欠席となりました。秋の遠足や修学旅行に行けなくなった気分と同じです。先生も参加したかった吟行がたくさんあったようですが、いくつも不参加のまま、送られてきた句の選と評だけされたようです。私は参加したつもりでいろいろ句作しようと思っています。仲間にみてもらえると思うと思わぬ句ができるものです。自分がひねり出したのではなく、先生や仲間に引き出されたようにでてくる句があります。それは共感のレベルの高い同じものをみた故であったり、自分の一番得意な素直な部分の感性が解放されるからもしれません。そんな思いだけしっかりもって明日はお留守番。ささやかにバースデイソングを歌いながら句作をしようと思います。

渡る日のかげに競ひて尋ねてな

    清きその道またも会はむため   大伴家持

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2008年10月 9日 (木)

呼吸

Cyum07080401風邪をひいて痰がからまったりすると息苦しくなります。とんでもないところへバイ菌が飛んだりすると肺炎や気管支炎になってからだが堪りません。今週はなぜか調子が悪くきれいな呼吸ができていません。だからからだもこころも少し重いのです。皆様は風邪などひいてませんか。体調は良好ですか。韓国に住んでいたときパンソリという伝統歌劇が好きでよくマダン(円い広場)に観にいってました。その歌い手の声は森羅万象を表現していました。風や嵐、滝や雷、うねりや波・・・どこからあんな声が表現できるのだろうかと不思議でたまりませんでした。それはきっと人が自然のリズムを体得して、自然の属性に自らの感性がなじんだ時に出てくる声なのかも知れません。生きているものはみんな呼吸していて、呼吸のリズムの正しさが生きるリズムの正しさに比例しているのかも知れませんね。

長養の山河は冬に近くあり   田中裕明

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2008年10月 3日 (金)

新米の白

Dscn5986先日、出雲にお墓参りに帰って新米をいただきました。もみ殻をとったばかりのお米を精米してきれいな上白米にして持って帰りました。そのお米でご飯を炊いて、茄子のお漬け物とお煮しめをおかずにいただいて、もうしあわせいっぱいです。どのきれいな白をみてもお米の白に見えてきます。重なってゆきます。そんなしあわせな白を照り返すように光をこぼしていたのがジンジャーの花です。白が透明に透けて行くような光のなかで、今度は新酒がいただきたいと・・・。食欲の秋がますます深まってゆきます。おいしい白や透明をいっぱいいただいて今年の秋を楽しみたいと思います。

白露の山弁当に酒すこし   田中裕明

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